ecoja(エコじゃ)│環境ジャーナルWeb
TOP 内外ニュース 中国地域ニュース イベント・セミナー・募集 環境ジャーナル とっておきリンク

データライブラリー


エネルギー
温暖化
リサイクル
環境保全
エコ製品
環境経営・環境報告書
エコカンパニー
ISO14001認定企業
エコアクション21認定企業



住環境
エコライフ
スローフード
食育
田舎ぐらし
エコ商品



環境学習
エコクラブ
表彰・助成
工場見学
セミナー



グリーンツーリズム
市民農園
自然体験
フォト・川柳・エッセイ
道の駅・朝市
イベント



環境法規
リサイクル法
環境用語
本・資料
スペシャリスト
NPO・NGO


中国地域ニュース
新コラム「カンキョウ」
「歴史環境」が都市に厚みを与える


 「環境」といえば、まず自然環境を思い浮かべる。今頃、野や山は急に緑を濃くしてゆく。田に水がはられ、種籾まきが始まる。空気はおいしい、環境がいい、と東広島市の過疎化地域で田づくりに余念のない老農夫が地域を自慢する。昔、まだ東広島市発足前の賀茂郡黒瀬町に住み始めた頃、広島県の情報誌に、水の少ない賀茂台地は「六月一面、水郷となる」という巻頭言を寄せたことがあった。
 だが教育環境も大切である。東広島市は、「子育てするなら東広島」とテレビにキャッチコピーを流している。戦前から、全国に知られた「西条教育」の伝統があり、県下有数の進学校があり、広島大学をはじめ4つの大学がある。人口20万人都市を目指して、小・中学校が新設され、市役所は美しく建て替わった。JR西条駅が新装され、新駅もこの3月から開業した。
 工場もできた。いろいろな業種の会社もできた。なかには世界的シェアを誇る東広島発の企業もある。大学生の受け皿がたりなく、地元に残らないという負の評価もないではないが、それは今後の都市づくりの課題であろう。
 文化も育ちつつある。ショッピングセンターがいくつもある。映画館がある。IT関連の、素人向け玄人向け、いろいろな店がある。周辺の都市、広島市かさえも若者たちが集まってくる。昨年、本格的な文化芸術施設「東広島芸術文化ホール(クララ)」がオープンした。3年後、市立美術館としては中国地方でいちばん旧い東広島市立美術館は、クララとの隣接地でリニューアルする。都市は新しく、活気に満ちている。
 だが、環境に厚みを与えるのは、「歴史環境」である。自然環境ですら、その地域の人びとが何代もかけて継承してきた技術や知恵が魅力なのだ。都市ではなおさらである。西条の酒は全国的に、あるいは国際的に有名であり、かつての国立醸造試験所も移転してきた。今の独立行政法人酒類総合研究所で、全国の酒文化の中心である。秋になると、酒祭りがあり、観光客が全国から集まってくる。だが最近5年間で二つの由緒ある酒蔵が消えた。酒造りの文化が細ってゆくようである。
 しかも一本の、しかもたかだか数百メートルの酒蔵通りだけでは、都市の歴史環境を支えられないだろう。ご多聞にもれず、市全体では過疎化が進み、あちこちの小学校が廃校になり、人の住まなくなった民家が目立つ。歴史を大事にしない町は歴史に残らない。
 この都市には、総合的な「歴史環境」の育成が必要なときである。


金田 晉(かなたすすむ) 美学者(東亜大学大学院特任教授・広島大学名誉教授)



環境ジャーナル表紙



会社概要著作権についてプライバシーポリシー広告掲載についてお問い合わせ

2007, The Ecology Journal. All rights reserved.